創作小噺保管庫

創作企画「クロスアルモニー」での自作品について書きます。

dc2_白線上の滑氷「アイズ・オブ・フェイリュア」の色々

9か月ぶりの更新です。ヤバいね。

久しぶりにガッツリ長い話、それもキャラロストを含むような内容になるのでまあ描いたり書いたりして出すまでの経緯とか勝手な解説とかあるわけでして。よかったら目を通してください。

当然、こんな場所に書いてあることを前提にして何か絵や読み物を出して「この設定は以前にブログで書いたようにですね…」とか言うクソみたいなことはしないので読まなくても大丈夫です。

 

「アイズ・オブ・フェイリュア」に至る経緯

きっかけは作業通話

今回の話、極端にザックリと要約すると、レィヴが率いる皇国軍の斥候部隊とドーレンナックが交戦、部隊長のレィヴを含めその全員が彼女によって撃破されるというもの。

撃破というのはつまり戦死であって、この話でもってレィヴはディザスコードから退場することになりました。

ありがたいことに、何の前触れもなく急に投稿された長ったらしい文章をかいつまんで読んでみたら朱音海良さん(@_seatail_)のエントリーしたキャラ・レィヴが死んで終わった…というラジカル過ぎる展開に驚いてくれた方もいたようです。素直に嬉しいです。アニメや漫画作品で「物語に緩急付けるために安易にキャラ殺せばいいってもんじゃねーぞ!」という批判もありますし自分もそれは同じことを思うんですが趣味の創作なんで許してください。

作品の受け手からすれば急展開というか、レィヴくん死ぬには早いのでは…?という感想もありそうなものですが、作り手側の自分とかいらさんからすれば「レィヴの退場には思ったより猶予があったな」という感覚です。

 

 

ツイッターでかいらさんも言及しているように、「ドーレンナックがレィヴを倒す」という展開そのものはかなり前から二人の間で話していたことでした。最初にレィヴのキャラロストが話題に上がったのは、たぶんディザスコードという企画が始まって企画参加者が続々とキャラシートを投稿してエントリーしていた頃だったと思います。なのでおそらくですが去年の4~5月あるいは6月か。半年以上前、まさしくかいらさんの言うように「相当前から」この話の構想はありました。

 当時、かいらさんとの作業通話の中で「クロスアルモニーと違って大災害の後に戦争が起きているという殺伐とした世界観なのだから、キャラロストなんかもあっていいんじゃないか?」というような話から始まり(うろ覚えです)、お互いにハーヴィス連合のドーレンナック、シルベリス皇国のレィヴという敵対組織でキャラクターをエントリーしていたので「じゃあレィヴとドーレンナックでやることになるよね」というようなアイデアが出てきた記憶があります(うろ覚えです)。うろ覚えです。何しろ半年以上前ですから。

「最初にアイデアが出てきてからかなり時間が経ってないか?」と思った方、その通りです。これは自分の怠慢が原因であります。率直に言うと「そのうち書きたいな~」と思ってボヤボヤしていたらdc1/ラーシャフォールのイベント期間が終わってしまい作品を書く前にそもそも出す機会を逃したのです。dc2でさえ、イベント期間延長が無ければ作品の発表が間に合うか怪しいところでした。筆の遅さよ。

正直、レィヴとドーレンナックで戦わせるというアイデアそのものは単純にお互いがエントリーしていたキャラをぶつけてみたらどうか? というだけの作業通話の中でポンと出てきた思いつきに過ぎないのですが、少し掘り下げて考えてみたらコレなかなかいいんじゃないの? という方に流れが傾いてきたのです。それには二人の「目」のことが関わっています。

二人の持つ『特殊な目』

「アイズ・オブ・フェイリュア」とタイトルにもあるように、二人には「特殊な目を持っている」という共通点がありました。wiki3.jp

レィヴの持つ能力は魔眼といって、目を合わせた相手に何でも命令を下すことができるというもの。めっちゃつよい。これもかいらさんとの通話で語られたことですが、ディザスコードはキャラの強さに特に制限無いよ~という公式からの発言を得て「じゃあクソ強い能力者にしてみるか」と考えられたのがこの魔眼だったとかそういう話だったと思います。かいらさん間違ってたらごめん、そんな感じのこと喋ってなかったっけ、もう覚えてねえわ。

 

wiki3.jp

一方のドーレンナックは目に特殊能力があるわけではありません(wikiのリンク貼ったけど目についてほとんど言及ないし文章クソ長いから踏まなくていいです)。

ただ彼女の目についてはイラストを見れば一目瞭然、過去に失ったという相棒ロボットくんのパーツを利用したバイザーに覆われています。クソ長いwikiの説明文にも「採掘中の事故で相棒がディザレアに侵され、救出を試みた際に腕と頭の一部を失うと同時に…」と書いてあるように、彼女の顔面はディザレアに侵食されて失われています。そこに機械を埋め込んでいるような状態ですので、目に特殊能力がどうのこうのというより、生身の眼球というものが彼女には備わっていないんですね。彼女はいわば機械の目で世界を見ているわけです。

実際に交わされた当時の通話ではここまで順序立ててお互いのキャラの能力を確認したわけではないんですが、レィヴは魔眼あるよね~ドーレンナックは顔面が機械だもんね~とグダグダ話すうちに「つーかドーレンナックに目が無いんならレィヴの魔眼って通じないんじゃね?」ということになったわけです。通話の中でポロッと彼の弱点(≒敗因・死因)が決定した瞬間でした。

「どういう理由で戦いに勝つ/負けるのか?」が決まってしまえば話はだいぶ作りやすくなります。ありがたいことに(また同時に恐ろしいことに)可哀想な男キャラが好きなかいらさんから「レィヴはボッコボコにしていいよ」と一方的にボコる許可をもらえたのでますます話が書きやすくなりました。

かくして「アイズ・オブ・フェイリュア」を書き始めることとなりました。

 

タイトルの意味とか小ネタ

これ前の記事でも書いたんですけど、漫画とか小説とかアニメとかゲームとかその他諸々の創作物に込められたオマージュとかイースターエッグっていうのはそれの受け手が「これはXXが元ネタ」「これは作者のXXのこと」「ここに出てくるこれはXXを意味してる」って考察したり発見したりするものなんですよね。

だからこんな場所で作り手側が「ここにはXXっていう意味が込められていて~」って語るのはクソダサいんですよね。でも見る人が少ない、ましてや趣味でやってるような規模のものだったらそんな熱心に読み込んで考察する人もいませんから自分で解説してもいいでしょ、っていう言い訳を前提に置いてこういう見出しでここに色々書きたいんですよね。ここはそういう場所として作ったので、そもそも。

タイトルのこと

というわけでみっともないセルフ解説と考察が始まるわけですが、タイトルの「アイズ・オブ・フェイリュア」っていうのは自分がアナグラムに次いで好きな『安直ダブルミーニング』系のタイトルになります。

「Eyes of Failure」直訳すると「失敗の目」なんですが、当然これは目を用いたクソ強い能力『魔眼』が効かない相手と戦って命を失ったレィヴくんを示しています。魔眼での攻撃に失敗して死んだので「失敗の目」、そのまんまですね。

そいでもっかいタイトルを噛みくだいてみるんですが「Failure」という単語には「失敗」という意味の他に「(重要な機能の)損傷・機能不全・機能停止」といった意味で用いられることもあるみたいなんですね、載ってたのはジーニアス英和辞典なんですけど。

そこでこっちの意味に置き換えて「機能不全の目」というふうに考えてみると、これもまあやっぱり魔眼が正しく機能しなかったレィヴくんのことになるんですけど、ドーレンナックについてよくよく考えてみると彼女も目がきちんと機能していなかったりするわけです。

物語の後半、レィヴのキザな遺言を聞いて失った相棒のことをふと思い出したドーレンナックが直後に洟(はなみず)を垂らして悪態をつくのは、寒さに対しての生理現象と苛立ちじゃあないんですよね。もし違う世界で相棒と平和に暮らせたらと思って、彼女は涙する…という場面になるはずなんですが、前述の通り見ての通り、彼女には目が無いので涙が出ないんです。それで水っぽい洟(=涙)が出た。

家族で金曜ロードショーの「サマーウォーズ」を見ていて、亡くなったおばあちゃんの遺書が読み上げられるシーンでボロ泣きしそうになるのを家族がいる手前みっともないからと必死に我慢する…という経験を誰もが一度は経験したことがあるのでおわかりでしょうが、涙というのは目から出すまいと我慢すると鼻から流れるようになっています。

豆知識ですがアジア人(日本人?)と欧米人では体のつくりが違うとかで、太平洋の向こうでは葬式になるとみんなハンカチで鼻を抑える光景が見られます。当然、目からも涙が出るんですが、あちらでは目よりも鼻から出る方が多いそうで。うちもひいばあちゃんが死んだ時は自分も兄も母も祖母もみんなオンオン泣いたんですがそういえば母や祖母の手に持つハンカチは目元にあったような気がします。半年前の通話を覚えていない男が経験した15年以上前の葬式の記憶ですからこれも当然うろ覚えです。

ところがドーレンナックは目が無いので、我慢する以前にそもそも鼻からしか涙が出ないんですね。

一般人と違って驚異的な身体能力をはじめ、熱源探知や外気温といった情報を目で直接的に知ることができる彼女ですが、一方で目が正しく機能せず人並みに、また人らしく涙することさえできなかったりもする。こうしてみると「機能不全の目」は、レィヴだけじゃなくてドーレンナックのことを表しています。

「目が原因で死んだレィヴに比べれば涙が出ないドーレンナックくらい大したことねえだろ」とも思うんですが、やっぱり彼女はもともとヒトの顔と体の持ち主で戦争とも直接は縁の無かった存在で、事故が原因で信頼のおける相棒を失ったうえにディザレーターのサイボーグ戦士になったわけですから、ヒトだった頃の彼女は一度死んでいるようなものなんですよね。そして自分が殺した魔眼能力者の男を前に、相棒と共にヒトだった自分はもうとっくに死んでいるのだということを水っぽい洟を通じて再認識させられるというのはなんとも痛ましい感じがしませんでしょうか。しませんね。ダメだこじつけっぽいわこれ。

言うてもうタイトルもこの文も書いてしまった以上引き返せません。ともかく、「アイズ・オブ・フェイリュア」は特殊な目を持つ二人のことを示したタイトルだったわけです。

あーすっきりした。

まあまだ続くんですけど。

レィヴ小隊はレィヴ班(チーム)という方が正しい

単純にレィヴとドーレンナックが戦闘してドーレンナックが勝利するという、ただその一点だけを描くなら「ドーレンナックがネイベレイアをお散歩してたらレィヴに出会ってたちまち大ゲンカ!」っていう流れでも良かったんですけど「魔眼が効かない→一方的にボコられて死ぬ」という展開が決まってる以上最初からサシで戦わせたらさすがに呆気なく終わるのが目に見えてるのでモブ兵との前哨戦を挟んでから…ということになりました。ボリューム感を出すだけではなくて個人的に「ディザレーターはめっちゃ強い」というイメージだったのでモブ兵複数を軽く全滅させてしまうドーレンナックを描いてそれを示したかったというのもあります。ドーレンナックTUEEEEみたいな展開は書いててすごい楽しかった。ともかく、そういうお話の構成上で組まれたのがモブ兵5人とレィヴくんから成る小隊です。

構成員は隊長のレィヴ、モブ小銃兵3名、モブ魔導兵士(アイリス)2名。それ以上何も決めてないです。

ちなみにドーレンナックがレィヴの登場時に「伍長でリーダー…小隊だな。つまりお前しか部隊に残ってねえってことじゃん、…」と言っていますがこれは半分は的確な分析からなる発言で、もう半分は的確とはいえない指摘(というか言い間違い)になっています。

ウィキペディアで軽く調べた程度のことなので間違っているかもしれないのですが、軍隊の編制において小隊というのは30名以上から成る規模の部隊を示すみたいです。なのでせいぜい5,6人の部隊であるレィヴ達を「小隊だな」と言うドーレンナックはちょっと使う単語を間違ってるんですね。レィヴの率いる規模の部隊は「班(チーム)」と呼ばれる、非常に小規模な部隊の単位になります。

逆に班のことを小隊と言い間違えたこと以外に関しては感情的に進撃・発言しているようで冷静さを兼ねたドーレンナックらしい一面が出ています。つい先ほど述べた「班」という小規模の部隊は4~6名で構成され、その指揮官(リーダー)は伍長から一等兵あたりの階級が務めることになるそうです。これ全部ウィキペディアです。

ドーレンナックは手当たり次第に見つけた敵をなぎ倒しているようで「呆気ないな、五人がかりで傷一つもつけられねえとは」と言っているように何人撃破したかカウントしてますし、死にかけの兵士が言った「リーダーの…レィヴ伍長の『目』で即死だ…」という発言に対しても軽口と共にトドメを指しながらも「伍長」という敵部隊指揮官の階級をちゃっかり聞いて覚えていたのでレィヴと対面した時(ここまでで5名撃破、部隊の指揮官は伍長、伍長程度の階級が率いる部隊は4~6名、じゃあこいつが最後の一人かな…)と情報を整理していたんですね。でもせっかく得た情報から何を言うかと思えば「何やってんだよ、来るのが遅ェぞ。みんな死んじまったところだぜ」とか相手への挑発を始めるところがまたなんとも。我ながら変なキャラです。

ちなみに班のことを小隊と呼んだのはドーレンナックの言い間違いというより自分が書き間違えたのに気づかないで投稿したのが原因です。プロの物書きに編集とか校閲がいることの素晴らしさと大切さがよくわかります。気づけよ、ボケがよ。

ちょっとだけお借りしたキャラ・設定などなど

これ問題といえば問題でもあるんですけどディザスコードもクロスアルモニーも交流創作企画なのにあんまりキャラ同士を絡ませたりっていうことをやってないんですね自分は。もっと言ってしまうとクロスアルモニーとかディザスコード共通の世界観や設定をお借りしてその土台の上で自創作を展開してるのに近いんです。これ人によっては「もう出てけよお前」って思われるかもしれないレベルの問題なんですが現状そういうご指摘を直接もらってないので続けています。

自分は、ガッツリ交流はしてないんだけど要所要所に「あっ、同じ世界観でこの物語は進んでるんだな」というのがわかるような描写がチラチラ見える感じが好きなのでそういうのをこの話でもやったりやらなかったりしてます。

たとえば冒頭でドーレンナックに無線で呼びかける声はどりーむぼうる(@yumedama_uru)さんがエントリーしたミヤコという遊撃部隊のリーダーです。

wiki3.jp

遊撃部隊所属のドーレンナックが無線で「指揮官」と呼んで応じているところで「遊撃部隊の指揮官だよ! つまりミヤコさんだよ!」っていうのをチラ見せしてたつもりです。もっと普通に登場させなさいよ。

あと終盤でドーレンナックの要請に対して本部が寄越した車はきうきうさん(@kiukiu1919)が考案したシルベリス皇国軍の雪上装甲車・チェーホフ

 これ見た時「ウッワこれかっこいいな使いたい! 雪上装甲車に『チェーホフ』ってルビ振って使いたい!」と思ってたので勝手ながらお借りしました。しかも鹵獲品という形で。まあドーレンナックはハーヴィス連合側だから仕方ない。これにレィヴくんの死体載せて運びました。南無。

ドーレンナックとリース

ドーレンナックの過去回想シーンでリースが登場しますね。こんなん途中に挟むから文章量が増えるんだよ。でもこの二人の絡みは書いててすげえ楽しかった。

dc1の時にモブ兵を射殺した時といい今回のレィヴチームのモブ兵を打ち倒す時といい、やはり戦闘員らしく登場するとなると荒っぽい口調で暴れてばかりのドーレンナックなんですが仲間に対しては妙に世話焼きというか話好きというか、そういう一面があります。リースとの回想シーンで非戦闘時のドーレンナックが書けて良かったと思います。

誰かを待ち焦がれるような様子で戦場で立ち尽くすリースに「人探しか?」と馴れ馴れしく気さくに話しかけるところなんかは彼女らしいところです。仲間にはこんな感じです。というか普通のヒトだった頃は誰に対してもこんな感じだったんでしょうね。

二人ともディザレーターであり、連合内のはぐれ者であり、女性であり、パートナー(仕事のパートナーと恋人という意味でのパートナーなので一緒にはできないくくりですが)がいる。ドーレンナックとリースは共通点が多くて一緒に並べると面白いな、と思った二人組です。といっても残念ながらリースはレィヴの戦死を知って退場してしまうので今後二人の絡みを見ることは難しいんですが。

個人的に、打ち合わせたわけでもないのにかいらさんが書いた「アイズ・オブ・フェイリュア」後日談「language of flower」でリースがドーレンナックを「同じはぐれ者同士…」と言っていたのにはちょっと感激しました。そうなのよォ二人はハーヴィス連合のはぐれ者みたいなキャラなのよ解釈一致よかいらさんってばァ!(共感のあまりオネエ化

 

 ↑かいらさんが「アイズ・オブ・フェイリュア」に続いて投稿したお話「language of flower」リースもこれにて退場です。死んだのか失踪したのか、誰にもわかりません。

おわりに

なんかまだ書き足りないんじゃないかって気もするんですけどもう少しで8000字になりそうでキリがないので締めます。

アイズ・オブ・フェイリュアをはじめdc2ではキャラロストが多発して大盛り上がり(不謹慎)を見せ、イベント期間も延長されましたがいよいよ2月末で終了となります。もちろんイベント期間終わっても投稿はオッケーらしいのでみなさんの追加エピソードとか後日談とかもあれば見てみたいですが。

次に来るdc3は、というかディザスコードという企画・物語がどう続いてどう終わるのか今後も参加者兼視聴者(?)として楽しみにしています。

長々失礼しました。

ていうか全部読んだの? ウソでしょ? ありがとねほんとね。